音楽劇の作り方① ~自己紹介と創作テーマ~

昨年11月に開催された国立音楽大学 芸術祭にて私はTravelersというチームを結成し、台本も音楽もオリジナルの音楽劇「鏡の森」を上演した。

 

 

これは私の入学当時からの夢であったと共に、エレクトーンのこれからを考えるという目標の1つの第一歩になった。

 

今回、コロナの影響で3月の予定が無に帰したこともありどのように制作していったか、毎日少しづつ反省点と共にまとめていこうと思う。

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チームメンバー

制作について触れる前に、今回この大がかりなプロジェクトに参加してくれた方々を紹介する。

 

・永田茉彩【声楽】(以下マヤ)

この人語らずにどうしてこの「鏡の森」を語ろう、という存在。

1年前期、編曲法という同じ授業を取っていたことをきっかけに、7月ごろに「ピアノって得意なんですか?」とDMを貰ったのが全ての始まりだろう。恐ろしいほどのアンテナの持ち主だ。何か面白いことをしたいという気持ちが重なり、劇を作ろうという話になった。そう劇制作への原点はここである。

様々な舞台経験を持ち、夢を掴もうとする力はメンバーの中でも随一だ。

今回の劇制作においては、台本・歌詞・振りの殆どを考えてくれた中心人物であり、たくさん悩み人一倍努力する彼女が綴る台詞には、人の心を動かす力が籠っているように思う。

 

・城谷伶【作曲】(以下城谷さん)

劇を制作するにあたり、私の作曲能力では間に合わないだろうと思い話をしたところ、快く参加してくれた、我がチームの作曲担当だ。

作曲専修の中でも特に勉強家であり、日常会話においても知らない作曲家や曲の名前をポンポンと出してくる。準備運動と称しチャイ4の4楽章をピアノで弾き始めた時は「準備運動とは?」と驚いたものだ。また、彼は筋金入りのディズニー好きでショーの音楽を30分間ピアノで弾き続けるなどの変態であるが、その力は劇の制作に於いて大変に活躍しただろう。

柔軟な思考と客観的な意見に幾度となく助けられ、いわばTravelersの大黒柱的存在だろう。

 

・豊岡陽菜【声楽】(以下ヒナ)

彼女は劇の制作が始まってしばらくしてからの5月ごろに、この無謀とも思えた劇の制作に参加してくれた。

劇における登場人物が2人であることが決まっていたため、主人公役のマヤと対局的な特徴を持つ彼女は適任だったと言えよう。ソプラノで高音の音のハリが素晴らしくほぼ即決だった。

役作りが得意で、あまり細かく決まっていなかった「泉の精」役を鮮やかに演じ、また指摘の鋭さもまた特徴で、練習中も「ここは違くない?」とズバズバと指摘していく素直さと力強さはTravelersにも劇そのものにも大きな影響を与えただろう。

 

佐藤匠【電子オルガン】

自分のことを長々と書くのは気が引けるので簡潔に。

劇の制作ではリーダーを担当し、また作曲・台本等に直接関わり、レジストレーション(エレクトーンにおいてのオーケストレーション)と演奏を主に担当した。

それぞれのセクションとの繋ぎ役の仕事が多く、板挟みは中々ハードであったが、今までの経験を生かせたのでは...と個人的には考えている。

  

・引地颯【日本工学院八王子専門学校 CG映像科】(以下ソウ)

彼は高校時代の友達であったが、まだ劇の制作が始まる前ー1年の9月ごろから「何かコラボしたい」と話していた。

彼もまたやりたいことが明確な人で、この劇のためにもたくさんの勉強をしてくれた。

忙しい中、我々の活動に関わってくれて本当に感謝である。

 

 

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↑会議にて録画を見ながら意見を言い合う様子。 あーだこーだ言いながら少しづつ形にしていくのはこの上なく楽しい。

 

劇の制作への契機

 マヤと私で「何か面白いことをしたい」と始まったこの計画。

エレクトーンを使うということで私から提案したのは、

 

・役者と演奏者が対等な関係でいられる劇の創作

であった。

 

ミュージカルにおいて、どうしても演技・歌>背景音楽になってしまう傾向があり、(無論その形式の方が舞台として完成されているからであるが。)演奏者としては少し悲しい部分であった。

また、ただBGMであるのなら、エレクトーンで生演奏する意味はないのである。エレクトーンはどうしても生演奏には勝てない。それがオーケストラであってもバンドであっても。そこでエレクトーンの強みを考えた時、やはり最初に出てくる最強の武器は「一人で大人数の合奏を再現できること」なのだ。

 

以前、2018年12月に国立音楽大学の学長でもあるクラリネット奏者の武田忠善先生と、講師の渡辺睦樹先生の演奏会がヤマハホールにて行われた。

Mozartのクラリネット協奏曲、Debussyクラリネットのための第1狂詩曲などが演奏された。

その演奏会の大きな魅力は、聴こえてくる音楽は大人数の合奏であるはずなのに、実際の演奏は室内楽・・・1対1のアンサンブル、という点だ。この形態でしか不可能な密接で濃厚な演奏ができるのである。

これはエレクトーンにおいて、大きな魅力であると思った。

 

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ヤマハの主催のこの演奏会は、一部分であるが視聴可能である。 

 

話を劇の創作に戻すと、あらゆる場面での演奏者と役者間でのアンサンブル、或いは即興的要素が発生しても実現できるものを作る、ということこそエレクトーンならではの魅力なを最大限引き出せる方法なのでは?という問題提起から、ある意味実験的に創作が始まった。

 

 

というところで今回はここまで。

次回は制作の道順と、1つ1つの工程の反省を行おうと思う。