音楽劇の作り方⑥ ~振り付けと演出~

ブログ8日目。久しぶりに月刊エレクトーンを購入した。エレクトーン作品コンテスト2019に拙作が入選したので、そのコメントが掲載されていたためだ。まさか自分が月えれに載ることになるとは10年前はおろか数年前ですら想像できないだろう。昨年色々頑張ってよかったと思っている。

 

さて本日は振り付けと演出について触れていこうと思う。

 

振付け・演出についての計画

前回までで音楽計画について解説をしたが、その後振り付けや演出については全体にはあまり共有されなかったものの、演技チームではざっくりとした計画(というよりはイメージ)が作られたようだ。

 

演技について私は完成したものを見て感想を言うくらいしかできなかったので、ここから先はあくまでも憶測になるということをご承知願いたい。

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私から見て振り付けと演出については、大きく分けて2つの要素があったように感じた。

曲に合わせて体を動かして表現をする「踊り」と、「寝る」「スマホを見る」「花を渡す」といった動作を主とする「動き」の2つだ。

 

この2つは身体を使い何かを表現するという点では同じものだが、ストーリー上である程度決められる「動き」に対し、「踊り」というものは曲のイメージや要素に合わせて作り最終的に全体を通した時に意味を成すようにするため、直接的にストーリーに準拠しないという点において差異が存在する。よって両者の作り方にはそれぞれ違いが見て取れた。

 

作曲チームの誤解

これは私のリーダーとしての反省でもあるのだが、演技については劇の制作も進んだ本番直前になってから作り込みが始まった。これについて作曲チームの私と城谷さんは想定しておらず、(というのも作曲を生業とするもの期限オーバーは死を意味するため、締め切りに対して余裕をもって完成させなければ心配になってしまうのである。)中々肝を冷やしたものであった。

 

また曲が決まってから曲を書こうと思っていた部分も少なくなく、スケジュールを組み直すということになってしまった。

 

この問題に対しては、事前に情報共有ができていればよかったし、各々の理解が十分でなかったと言えるだろう。

 

制作と音楽合わせ

演技の制作は後期に入り9月ごろから始まった。

部分部分で制作が始まり、特にM03~04・M10~12の踊りの部分から始まったようだ。

実際に音楽の録音に合わせて踊った録画をLINEを使って作曲チームと共有し、意見を交換し完成に向けていった。また、ある程度制作が進むとエレクトーンと実際に合わせ、私が合わせる部分やブレスでタイミングを合わせる部分など細かく決めていった。

 

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↑芸祭の公演で実際に使った譜面。赤い円で囲った部分は練習の時にメモをしたもの。どの部分を動きと合わせるか少しづつ作りこんでいった。

 

エレクトーンならではだが、踊りの様々な動きのタイミングを演奏者の私と合わせ、「踊りと演奏のアンサンブル」を作り上げることが出来た。

 

動きに関しては台本上で大体決まっていたため、部分部分で通しながらセリフのタイミングなどと同時に、立ち位置や動作のタイミングを決めていった。

これらの部分は、はじめに遊び半分で流してイメージを掴んでいき、全体像が見えてきた所で一挙に完成に持っていた。正しい作り方などは存在しないが、メンバー全員が全体像を掴むために、「なんとなく」通してみる、「なんとなく」演技をしてみる、といったことが完成に繋がったと私は思う。

 

絶え間ない探求

演技については、本番の前日まで試行錯誤が繰り返され、何度も何度も変更が加えられた。やればやるほどイメージが固まっていき、そうすると必然的にベストな表現が見つかっていくのだ。私はこれは作曲においても演奏においても経験しており、音楽をする上でとても大切な事だと思っている。なんども刷り直しを行い最善の表現に近づけていくのだ。はじめから100%の完成はない。

 

これは私の正直な想いなのだが、複数人で1つのものを作り上げる時、この刷り直しの工程は1番苦労し、しかし最も楽しく充実した時間になると思う。

あーだこーだ言いながら、より良いものへと磨いていく。何度も何度も手を伸ばし、いつか掴めるように少しづつ高く飛んでみる。この時間こそ私が音楽をやっていて最も幸せを感じる時間だ。10年前からずっと、音楽がやめられなくなってしまった原因なのだ。

 

もし、このブログを見て挑戦をしてみようと思う人がいるのなら、この時間こそ最高だからここまで頑張ってほしいと思うし、もし共感してくださる方がいるのなら、是非じっくり話をしたいと思う。

 

まとめ

少し熱くなってしまったが、演技を創作するにあたり、

  • しっかり作る部分と台本を見ながら流れで決めていく部分に分け制作していくことが大切であること。
  • 最初から完成形は作れず、案外最初は「なんとなく」通してみることがイメージを掴むベターな方法であること。
  • そして、何度も刷り直しをして少しづつ完成に近づけていく方法がクオリティを追及する最善の方法であること。

これらの事を自戒も込めて、まとめとしてお伝えしたい。

 

 

今回はここまで。

それではまた。